脱毛に関してトラブルになったときの法律関係は?

脱毛でもしトラブルになったとき、何の法律知識もないまま企業を相手に裁判をするのは
とても大変です。脱毛機関といえども顧問の弁護士や法務部を抱えているところが多いので
こちらも最低限の法律知識は身につけておきたいところです。
ここでは法律的な観点で脱毛行為を見ていくことにします。

民法的に考えると

民法には請負契約委任契約というものがあります。請負契約というのは、例えば「お金を払うから家を建ててほしい」といった具合にできあがった結果に対してお金を払う契約です。
委任契約というのは弁護士に「私の代わりに法廷で戦って欲しい」といった具合に、何かの仕事を処理することに対してお金を払う契約です。

脱毛行為は委任契約です。「これだけの部分を脱毛できました」という結果に対してお金を払っているわけではなく、「この範囲にレーザーや針で脱毛処理をしました」という過程に対してお金を払っているのです。

ですので基本的には結果が発生しなくてもお金を払わなくてはなりません。
ですがあまりにも成果に乏しい場合は「債務不履行」といってクリニック側が義務を果たしていないと主張することができます。
ただ、民法はあくまで基本となる法律にすぎません。民法の上にさらに「特定商取引法」などの特別な法律が乗っかっているのでクーリングオフなどが可能になっているのです。

脱毛サロンと医療脱毛の法律的な違いは?

脱毛サロンと医療脱毛の違いがイチマイチよくわからない人も多いと思います。
調べてみても効果の違い、広告の有る無しなど、情報が箇条書きにされているだけでしっくりこないと思うでしょう。個人と個人が契約することは自由です。
例えばリンゴ1個と200円を引き換えにする場合は売買契約です。
脱毛サロンも医療脱毛も同じです。「こういう脱毛を施すかわりに、お金を○円払う」という契約をしているのです。ただ同じ契約でも適用される「特別な法律」が違うのです。
イメージ的には、

脱毛サロン・・・「お客さんと商売人」→特定商取引法が適用される
医療脱毛・・・「患者と医者」→医師法が適用される

です。こういうイメージでとらえると、なぜ医療脱毛のほうが効果が高いのか、なぜ脱毛サロンのほうが広告が派手なのかもしっくりくると思います。

脱毛サロンと医療脱毛の違いを憲法的に考える

実は脱毛サロンと医療脱毛の違いは憲法の中に現れているんです。
脱毛サロンも、医療脱毛機関も、どうせ営業するなら沢山広告を出して人を集めたいと思うはずですよね。だけど医療脱毛機関にはある一定量以上の広告を出してはいけないという制限があるんです。

医療は患者の身体に対する責任が重い。だから安易な価格競争を招くことは許されない

というのが理由です。これを憲法的に言うと「公共の福祉のための制限」って言います。
一方脱毛サロンは「お客さんと商売人」の関係ですからこんな制限はないんです。そして同じ理由でもうひとつ違いがあるんです。それがクーリングオフです。

クーリングオフは脱毛サロンでしかできない!

クーリングオフ自体がそもそも「お客さんと商売人」の間の法律である特定商取引によって定められたものです。商売人とお客さんに何かトラブルがあったときに、立場の弱いお客さんが
一方的に不利益を被らないですむように、というのが特定商取引の趣旨です。
医療脱毛は「医師」しかやってはいけないとされ、脱毛に用いる機械、説明義務なども脱毛サロンと比べて厳しくチェックされています。厳しい審査をくぐっているからこそ信頼されているというわけです。
医療脱毛にはクーリングオフはありませんが中途解約制度というものがあります。これは義務ではないのですが、サービス向上のために導入しているクリニックも多く、どれくらい返金されるのかも様々です。また中途解約には違約金を伴う場合も多いので、事前に契約書と同意書をしっかり確認しておくことが大切です。
ちなみに正式に成立する時期は未定ですが、医療脱毛にもクーリングオフを適用しようとする
動きがあり、改正法案が国会に提出されています。何年か先に医療脱毛でもクーリングオフが利用できるようになる可能性は高いです。

【脱毛サロン・クリニック】中途解約・返金について

脱毛サロンってクーリングオフ制度ってあるの?

トラブルになったときに・・専属的合意管轄って?

両者の違いのイメージはつかめたでしょうか?それでもトラブルに発展してしまうことはあります。
脱毛コースの契約書には、「もしお客様と当クリニックで紛争に発展した場合は○○裁判所を
専属的合意管轄とする」と書かれています。この専属的合意管轄とは、言葉は難しいですが、「その裁判所でしか裁判をしないこととする」という意味です。もし自宅から距離がある場所が定められている場合、遠くまで赴かなければならないと思うと面倒ですが、この合意管轄は絶対にそこで裁判をしなければならないというわけではなく、裁判が始まった後の申し立てや話し合いで別の裁判所に
事件を移送することができるので、安心してください。

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