ヘアカラー前後でも脱毛できる?

脱毛当日や前後日に注意すべきことは、各サロンやクリニックで定められています。
これは脱毛が肌に負担が掛かるものなので、なるべく肌への刺激や体調面を悪くすることを避ける必要があるからです。
例えば脱毛前には日焼けをしないようにしたり(日焼けは禁物?脱毛と日焼けの関係)、脱毛当日はアルコール摂取 (脱毛前後のお酒はNG?アルコールと脱毛の関係とは?)や入浴を控えるなどの注意点があります。
肌の保湿も脱毛後のケアでは特に重要な要素なので、どのサロンやクリニックでも必ず勧められています。(脱毛をすると肌が乾燥するって知ってた?脱毛後の保湿の重要性

そして、数多くある注意点の中で、意外と見過ごしがちなのが「ヘアカラー」です。
ご存知の通り、ヘアカラーは頭髪に塗るものなので、脱毛する部位とはあまり関係がないように思えます。
しかし、ヘアカラーを脱毛当日や前後に行うことで、脱毛ができなくなる可能性があるのです。
何故ヘアカラーで脱毛ができなくなるのでしょうか?
その点を詳しく見ていきましょう。

脱毛前後にヘアカラーはできるのか?

まず結論としては「ヘアカラーは脱毛当日、前後日は避けた方が賢明」だということです。
仮にヘアカラーを施しても肌への影響が特に出なければ、サロンやクリニックも脱毛を行ってくれるかもしれません。
しかし、それでもヘアカラーは出来るだけ脱毛日からタイミングをずらせることが良いと言えます。何故なら、その理由は「アレルギー反応」にあるからです。

脱毛する部位の中でも、頭髪から最も近い場所である「顔」。
実はカラーリングした後の頭髪は、まだ染料が十分に定着していません。
染料が髪に定着するまで最低24時間は必要と言われています。

また長持ちさせるために必要な定着期間は、1週間ぐらいとされています。
つまり最低でも24時間は染料が落ちやすい状態にあるということです。
美容師によって意見は様々ですが、カラーリングした当日はシャンプーしないよう勧めているのが一般的です。
これはシャンプーすると染料が落ちるだけでなく、染料が顔や体に広がって皮膚にダメージを与えてしまうからです。
もちろんカラーリング方法や使用する染料によっては、シャンプーしても大丈夫なものもあります。美容師にその都度、相談していきましょう。

では、この24時間内に頭髪が顔などに触れて染料が付着してしまった場合、どのようなことが起きるのでしょうか?

カラーリング剤には、アレルギーの原因となる物質が含まれています。
それが肌に付着してしまうと、湿疹や赤みが出てしまうこともあるのです。
また湿疹やかぶれは付着した部位に限らず、顔や首などの他部位まで広がるケースも確認されています。
最悪の場合、呼吸困難に陥るアレルギー反応を起こすこともあります。

このような理由から、脱毛当日または前後日にヘアカラーを施すことは、リスクがある行為であると言っていいでしょう。

ヘアカラーでアレルギー反応を起こす理由

では、何故カラーリング剤でこれ程までに強いアレルギー反応が出てしまうのでしょうか?
それは「主成分」に使用されている酸化染料に問題があると言われています。

その主成分とは、パラフェニレンジアミン(PPD)という成分です。
この成分がとても曲者らしく、ほとんどのカラーリング剤で含まれているものなのです。

このPPDは、過酸化水素水と配合することで半永久的に毛髪を染めることができるメリットを持っていますが、皮膚と接触することでアレルギー反応を起こしてしまいます。
PPDは乾燥した皮膚や傷口などから体内に侵入し、体の免疫細胞がそれを異物とみなしてガードしようとします。
この時に体は赤みや湿疹などの症状を出してしまうのです。
またカラーリングを繰り返すほどにそのアレルギー反応は強くなっていくようです。

PPDだけでなく、他にも「2,5-ジアミノトルエン」や「メタアミノフェノール」などの染料もアレルギー物質として認識されています。
薬の服用でアレルギー反応や湿疹・かぶれを抑えることは可能ですが、体の細胞はその反応を「記憶」する能力も持っているので、同じ成分を含む染料を使用することはできません。
その為にも「パッチテスト」を行う必要性が出てくるのです。

パッチテストの重要性

脱毛においても、脱毛器の光線を照射して肌の反応をチェックするように、カラーリング剤もテストを行う必要があります。
実はここ5年の中で、ヘアカラーによる皮膚への被害は1000件以上報告されています。
その内、治療に1ヶ月以上掛かった重症のケースは160件を超えています。
意外と多いヘアカラーによって皮膚にダメージを負う症例。
これを未然に防ぐためにも、パッチテストは出来るだけ行うことをお勧めします。

ヘアカラーの危険性は、昭和40年代から厚生省より指摘されていました。
ちなみにPPDは、2011年にEUで発がん性が立証されて使用禁止となりました。
しかし、日本ではいまだに多くのカラーリング剤にPPDが使われているようです。

パッチテストは、2日間は入浴できないなどの面倒くさい部分も確かにあります。
しかし、皮膚炎症を予防できるなどのメリットもあるのがパッチテストの強みです。
その後に脱毛をすることを考えているならば、なおさら必要なテストかもしれませんね。

ヘアカラーの仕組み

そもそも、髪はどのように染まっていくのでしょうか。
髪が染まる仕組みには大きく分けて3種類あります。

①永久染毛

私たちがヘアカラーと呼んでいるものが永久染毛になります。永久的に髪の色を染めるものであり、1剤と2剤の2種類の薬剤を使用します。1剤の成分は酸化染料アルカリ剤、2剤の成分は酸化剤が含まれており、この1剤と2剤を混ぜることで化学反応が起きて酸化染料が発色します。パラフェニレンジアミンや2,5-ジアミノトルエンは1剤の酸化染料になります。
1剤と2剤を混ぜた混合液を髪に塗ると、1剤に含まれているアルカリ剤が髪の表面にあるキューティクルを開き、混合液が髪の内側まで浸透していきます。
浸透した液は酸化剤の作用によって髪のメラニン色素を分解して脱色させます。そこに染料が過酸化水素水とアルカリ剤の反応で発生した酸素と結びつき、酸化することによって色を発色させます。
このように永久染毛は、髪を一度明るく(脱色)して色を入れるとういう2つの働きがあるので、黒髪から明るい髪へと自在に変えることができます。

②半永久染毛

永久染毛のように、脱色してから色を入れるのではなく、表面をコーティングする仕組みです。ヘアマニキュアやカラートリートメント、酸性カラーなどがこちらにあたります。
髪の表面にはプラスイオンとマイナスイオンが存在しており、そこに酸性染料のマイナスイオンが髪のプラスイオンと結合して色を定着させていき、発色させます。酸性染料は分子が大きいので髪の内部には浸透せず、脱色することもないので黒髪ではあまり色が目立ちません。
永久染毛のように髪や頭皮へのダメージがほとんどない分、アレルギー体質や敏感肌の人も使用しやすくなっていますが、色持ちは2週間程度とヘアカラーに比べてあまり持ちません。

③一時染毛

顔料色素などの着色剤を髪の表面に付着させて、髪の毛を一時的に着色します。
顔料色素の分子も大きいので髪の内部には浸透せず、酸性染料のようにイオン結合もしません。ただ髪の表面に付着するだけなので数回のシャンプーなどで簡単に落とすことができますが、脱色作用がありませんので、黒髪や暗い髪色では色が目立ちません。

ヘアカラーと脱毛を行うことを考えている方は、医師や美容師と十分に話し合ってから行うようにしましょう。

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