海外に行けば、日本人の歯並びの悪さをよく指摘されることがあると言われています。
これは外国では「歯並びが悪い=自己メンテナンスが欠けている」という考えがあり、
ビジネスや恋愛においても重要な要素と捉えられているからです。
そうした背景もあってか、国内でも急激に歯列矯正への意識が高まってきました。
それと並行して需要が高まってきたのが「脱毛」です。
脱毛も同じく、国際的な価値観やエチケットとして日本人の中で近年になって普及してきました。
では、歯列矯正中であっても顔の脱毛は可能なのでしょうか。
同時に行うことはできるのでしょうか。
実は歯列矯正中の顔脱毛は、その種類や装着の仕方によっては施術を受けられない可能性もあるのです。
歯列矯正と顔脱毛について詳しく見ていきましょう。
歯列矯正と顔脱毛
歯列矯正を行う治療では、必ず矯正装置が用いられます。
この矯正装置を「ブラケット」と呼びます。
ブラケットは主に「メタルブラケット」「審美ブラケット」「リンガルブラケット」の3種類があります。
これらの中でも私たちが歯列矯正としてよくイメージするのはメタルブラケットかもしれません。
メタルブラケットはその名の通り、金属製のブラケットです。
歯の表側に装着するタイプのもので、多くの不正咬合の種類に対処することができることで重宝されています。
また他のブラケットよりも丈夫で安価なため、治療費を抑えることができるメリットもあります。
しかし、歯列矯正においてはメリットが多いメタルブラケットですが、顔脱毛をする時には弊害となる恐れがあるのです。
脱毛レーザーと金属
では、なぜメタルブラケットが顔脱毛の弊害となるのでしょうか。
その理由は「金属製」にあるのです。
光脱毛・医療レーザー脱毛ともに、肌に照射される光線は黒い色素を持つメラニンに反応するよう設計されています。
しかし、この光線はメラニンだけでなく金属にも反応してしまう性質を持っているのです。
その為、メタルブラケットを歯の表面に装着した状態で顔脱毛を行うと、その光線が金属に反応してしまい、熱を発生させるリスクを抱えてしまいます。
金属からの発熱によって口の中を火傷することも十分に考慮しなくてはいけません。
脱毛器からは肌に軽い火傷を与えるほどの熱量が出ているのですから、当然かもしれませんね。また脱毛器具を鼻下に押し当てた際、歯の表面にある金属と唇が摩擦で擦れ、出血することもあるそうです。
これらの理由からメタルブラケットで歯列矯正中の方は、脱毛の施術を見送られる可能性が比較的に高いと言えます。
しかし、脱毛可能かどうかは通う脱毛サロンや医療クリニックによって対応が変わってきます。
ディオーネやエピレのように「本人が痛みを感じなければOK」というサロンや、「口周り以外はOK」と部位に条件をつけるサロンもあります。
医療クリニックは医師が施術を行うので、基本的にはどこでも脱毛を行ってくれるようです。
リンガルブラケットの場合
では、リンガルブラケットの場合はどうなのでしょうか。
リンガルブラケットとは、歯の裏側に矯正装置をつけるので、人に見られにくいというメリットがあります。
材質はメタルブラケットと同じく金属製を使用しています。
歯の裏側に装着する分、顔の部位によっては脱毛できる可能性があります。
ただ金属製なので、脱毛サロンによっては施術を敬遠されるリスクがあることも覚えておきましょう。
審美ブラケットの場合
審美ブラケットとは、一般的にはプラスチック製やセラミック製の矯正装置を指します。
ただ製品によっては異なる材質を使用していることもあります。
透明色や歯の色に合わせたものなので、表面に装着してもあまり目立たないという特徴があります。金属アレルギーの方に用いられることが多いですが、費用はやや高額になってしまいます。
顔脱毛においては、金属を使用していないことから脱毛を行ってもらえる場合がほとんどです。
しかし、留意しておかなくてはいけない点があります。
それはセラミックです。
セラミックは耐熱にとても優れている材質なのですが、一方で熱衝撃に脆いとも言われているのです。
熱衝撃とは、急激な加熱と冷却により温度変化が生じて物体が損傷してしまう現象のことです。
あくまでも可能性ですが、脱毛器には「光線による熱」と「冷却装置」が合わさっている種類があります。
肌が火傷しないように配慮して作られているのですが、セラミック製のブラケットに急激な温度変化が起こると、矯正器具そのものに損傷が起きてしまうかもしれません。
それによって怪我をするリスクも考えられます。
マウスピース矯正の場合
実はもう一つ、ポピュラーな歯列矯正の器具があります。
それがマウスピースです。
薄いプラスチック製のものが多いので、周囲の目も気になりません。
アスリート選手やボクサーも、歯のバランスや咬み合わせを調整するのによく使用していますよね。このマウスピースに関しては、顔脱毛においてほとんど問題にはならないでしょう。
なぜなら着脱がとても簡単なので、脱毛時に必要であれば外すことも出来るからです。
これらの数種類あるブラケットやマウスピースを使用しているのであれば、まず脱毛サロンや医療クリニックの医師に相談を仰ぎましょう。
医療クリニックは医師が施述を行うので、大抵の場合は脱毛を行ってもらえるようです。
しかし、脱毛サロンでは医療行為が出来ない為、脱毛できない場合もあります。
カウンセリングをよく行ってから、脱毛をするようにしていきましょう。
歯列矯正中の脱毛による痛み
そして、脱毛する多くの人が心配してしまう痛み。
歯列矯正中に脱毛できることになったとしても、痛みが増すことってあるのでしょうか?
痛みの感じ方は個人差もありますし、一概には言えません。
ただ鼻下の脱毛を行う際に、ブラケットと唇、皮膚が擦れて痛みを強く感じるかもしれません。
もともと鼻下の皮膚は薄くて痛みに敏感なので、その可能性はあります。
その痛みへの対処として脱毛サロンやクリニックで行われているのは、唇と歯の表面の間にコットンを挟む方法です。
これによって摩擦による痛みが軽減できるだけでなく、光線を金属に届きにくくする効果が期待できます。
もし痛みがあればスタッフや医師に我慢せずに伝え、対処してもらうようにしましょう。